公開: 2026年7月16日(記載の制度情報は2026年7月16日に、道路交通法・道路交通法施行規則の条文をe-Gov法令検索で、運用と罰則を警察庁・千葉県警察・兵庫県警察の公表資料で確認)

「うちの会社、安全運転管理者って選任しないといけないの?」——白ナンバー(自家用)の車を業務で使う事業所の最初の疑問です。都道府県警察のページは説明も様式も県ごとにバラバラで探しにくいのが実情。この記事では、全国共通のルールである法令(道路交通法・同施行規則)と警察庁の公表資料を根拠に、選任条件・資格要件・届出・罰則の要点を1ページに整理します。

先に結論
  • 選任義務の基準は乗車定員11人以上の自動車1台以上、またはその他の自動車5台以上(自動二輪は1台=0.5台で換算)。事業所ごとに数える
  • 20台以上なら副安全運転管理者も必要(台数に応じて人数が増える)
  • 選任した日から15日以内に公安委員会(実務は管轄警察署の窓口)へ届出。オンライン申請も可能
  • 選任義務違反には50万円以下の罰金、届出義務違反には5万円以下の罰金が定められている
  • 選任後の中心業務のひとつが運転前後のアルコールチェック(酒気帯び確認)と記録の1年保存

安全運転管理者制度とは——根拠は道路交通法74条の3

安全運転管理者は、一定台数以上の自動車を使用する事業所で、安全運転に必要な業務を行う責任者として選任が義務づけられている人です。根拠は道路交通法74条の3で、「自動車の使用者は、内閣府令で定める台数以上の自動車の使用の本拠ごとに……安全運転管理者を選任しなければならない」と定めています(e-Gov法令検索・2026年7月16日確認)。ポイントは3つです。

つまり、主に白ナンバー(自家用)の車を業務で使う事業所黒ナンバーの軽貨物事業者のための制度です。

選任が必要になる台数基準【5台以上 or 11人乗り1台】

「内閣府令で定める台数」は道路交通法施行規則9条の8に定められています(2026年7月16日確認)。

自動車の種類選任が必要になる台数
乗車定員11人以上の自動車(マイクロバス等)1台以上
その他の自動車(乗用車・バン・トラック・軽自動車等)5台以上

台数の数え方には換算ルールがあり、大型自動二輪車・普通自動二輪車は1台を0.5台として計算します(施行規則9条の8第3項)。原動機付自転車は含まれません(千葉県警察の解説では「自動二輪車(原動機付自転車を除く)」・2026年7月16日確認)。

数え方の例
  • 営業車4台+社用バン1台=5台 → 選任が必要
  • バン3台+自動二輪4台(0.5×4=2台)=5台 → 選任が必要
  • 乗用車4台のみ=4台 → 基準未満。ただし11人乗りマイクロバスが1台でもあれば必要

20台以上なら「副安全運転管理者」も必要

使用する自動車が20台以上の事業所は、安全運転管理者に加えて副安全運転管理者の選任が必要です(道路交通法74条の3第4項・施行規則9条の8第2項)。人数は台数に応じて増えます(施行規則9条の11・2026年7月16日確認)。

自動車の台数副安全運転管理者の人数
20台以上40台未満1人
40台以上20台増すごとに1人を加算(40〜59台=2人、60〜79台=3人……)

※千葉県警・兵庫県警の解説でも「20台ごとに1人を追加」とされています(いずれも2026年7月16日確認)。台数の計算はここでも自動二輪0.5台換算を使います(施行規則9条の8第3項は9条の11の計算にも適用)。

誰を選任できる?——年齢・実務経験の要件

安全運転管理者・副安全運転管理者には資格試験はありませんが、年齢と実務経験の要件が施行規則9条の9に定められています(2026年7月16日確認)。

安全運転管理者副安全運転管理者
年齢20歳以上(副安全運転管理者を置く事業所では30歳以上)20歳以上
経験自動車の運転管理の実務経験2年以上(公安委員会の教習を修了した者は1年以上)運転管理の実務経験1年以上、または運転経験3年以上
共通上記と同等以上の能力を有すると公安委員会が認定した者も可

ただし、次に当たる人は選任できません(欠格要件・施行規則9条の9)。

なお選任後、公安委員会から講習を行う旨の通知を受けたときは、使用者はその安全運転管理者等に法定講習を受けさせる義務があります(道路交通法74条の3第9項)。

届出は選任から15日以内【オンライン可】

安全運転管理者・副安全運転管理者を選任したときは、選任した日から15日以内に、内閣府令で定める事項を自動車の使用の本拠の位置を管轄する公安委員会に届け出なければなりません。解任したときも同様です(道路交通法74条の3第5項・2026年7月16日確認)。実務上は管轄の警察署を経由して届け出ます(兵庫県警察・2026年7月16日確認)。

届出事項は次の5点です(施行規則9条の12)。

届出はオンライン申請も可能です(警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」のページに案内があります・2026年7月16日確認)。様式や添付書類の運用は都道府県ごとに異なるため、具体的な手続きは管轄の警察署で確認してください。

罰則と解任命令

2022年の改正で罰則が強化されています。

違反罰則根拠
安全運転管理者・副安全運転管理者の選任義務違反50万円以下の罰金道路交通法119条の2
公安委員会の解任命令・是正措置命令に従わない50万円以下の罰金道路交通法119条の2
選任・解任の届出義務違反(15日以内の届出をしない)5万円以下の罰金道路交通法120条第1項第3号

選任義務違反の罰金は、従来の「5万円以下」から50万円以下へ引き上げられています(2022年(令和4年)10月1日施行警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」で2026年7月16日確認)。いずれも「罰金が定められています」という法定刑の話であり、個別のケースでどう扱われるかは管轄の警察署に確認してください。

また、公安委員会は、安全運転管理者等が要件を欠くことになったときや、業務を遵守せず安全な運転が確保されていないと認めるときは、使用者に対して解任を命ずることができます(道路交通法74条の3第6項)。解任命令で解任された人は、前述のとおり2年間は再選任できません。

選任したら何をする?——業務内容(アルコールチェックを含む)

安全運転管理者の業務は施行規則9条の10に9つ定められています(2026年7月16日確認)。要約すると次のとおりです。

このうち日々の実務でいちばん手を動かすのが、第6号・第7号のアルコールチェック(酒気帯び確認)と記録です。目視等による確認と記録の1年保存は2022年(令和4年)4月1日から、アルコール検知器を用いた確認2023年(令和5年)12月1日から義務化されています(警察庁・2026年7月16日確認)。確認は運転のたびではなく業務の開始前・終了後の1日2回で足りるとされています(警察庁Q&A(PDF)Q1・2026年7月16日確認)。

記録に書くべき法定8項目と記入例記録簿の書き方の記事で、直行直帰で対面確認できない日の方法直行直帰のアルコールチェックの記事で解説しています。

よくある質問

Q1. 5台未満でも選任が必要な場合は?

あります。乗車定員11人以上の自動車は1台以上で対象です(施行規則9条の8第1項)。台数は事業所ごとに数えます。

Q2. 個人事業主にも選任義務はある?

道路交通法74条の3第1項の義務の主体は「自動車の使用者」で、法人に限定する文言はありません。基準台数以上を業務で使用していれば個人事業主でも対象になり得ます。個別判断は管轄の警察署へ。

Q3. 安全運転管理者に資格や試験は必要?

資格試験はありません。年齢(20歳以上・副を置く事業所は30歳以上)と運転管理の実務経験(原則2年以上)等の要件を満たす人を選任します(施行規則9条の9)。選任後、公安委員会から通知を受けたときは法定講習を受けさせる義務があります(道路交通法74条の3第9項)。

Q4. 選任・届出をしないと罰則はある?

選任義務違反には50万円以下の罰金(道路交通法119条の2・2022年10月1日施行の改正で引き上げ)、届出義務違反には5万円以下の罰金(同法120条第1項第3号)が定められています。

Q5. 黒ナンバーの軽貨物でも必要?

貨物軽自動車運送事業(黒ナンバー)を経営する者は制度の対象です(道路交通法74条の3第1項の括弧書きで、自動車運送事業者の除外から明示的に外されています)。使用する自動車が台数基準に達すれば選任が必要です。

選任後の最初の実務=酒気帯び確認の記録に使える無料ツール

選任と届出が済んだら、翌日から始まるのが毎日のアルコールチェックと記録です。手書きで8項目×人数分を続けるのは大変——という方へ、ブラウザだけで付けられる無料の記録簿ツールがあります。

まとめ

出典(一次情報)

本記事は上記の法令・公表資料に基づく一般的な情報提供であり、個別の事業者への法的助言ではありません。届出様式や運用は都道府県ごとに異なり、制度は変更される可能性があるため、実際の手続き・個別の判断は必ず最新の公式情報と管轄の警察署・公安委員会の案内に従ってください。


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