公開: 2026年7月9日(記載の制度情報は2026年7月9日に警察庁・和歌山県警察の公表資料で再確認。道路交通法施行規則の条文はe-Gov法令検索で2026年7月4日確認)
「運転者が直行直帰で事業所に立ち寄らない日、アルコールチェック(酒気帯び確認)はどうやって・どう記録すればいいの?」——白ナンバー(自家用)の車を使う事業所で、対面で確認できない運転者がいるときの悩みです。この記事では、直行直帰のときに認められる確認方法と、記録簿への具体的な書き方を、警察庁と県警の一次資料だけを根拠に整理します。
- 酒気帯び確認は対面が原則。ただし直行直帰など対面が困難な場合は「対面に準ずる方法」でよい
- 認められる方法は、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させたうえで、①カメラ・モニターで顔色・声の調子+測定結果を確認、または②電話・業務無線で声の調子を確認+測定結果を報告させる
- 声を聞くだけ(検知器なし)はNG。検知器による測定は非対面でも前提
- 記録簿の「確認の方法」欄に、検知器の使用の有無と具体的な方法(例: ビデオ通話+検知器結果の報告)を書く。記録は1年保存
そもそも「直行直帰」とは?——出退勤との違い
ここでいう直行直帰は、自宅などから事業所に立ち寄らずに業務(運転)を始め・終える働き方を指します。ポイントは「業務が含まれるか」です。県警の公式Q&Aは、出勤・退勤の手段としてのみ運転する場合は確認不要とする一方で、出勤または退勤の途中に業務を含む、いわゆる直行直帰の場合は確認が必要と明示しています(和歌山県警察「点呼等の実施及び酒気帯びの有無の確認Q&A」(PDF)問22・2026年7月9日確認)。
- 自宅→(業務の運転)→自宅 … 直行直帰=確認が必要
- 自宅→事業所へ通勤のためだけに運転→帰宅 … 確認は不要(問22)
- そもそも運転する予定が全くない従業員 … 始業時の確認も不要(同Q&A問13)
対面が原則。でも直行直帰は「対面に準ずる方法」でよい
酒気帯び確認の方法は対面が原則です。ただし、直行直帰その他対面での確認が困難な場合には、これに準ずる方法で実施できることが、警察庁のQ&Aに明記されています(警察庁「安全運転管理者の業務としての酒気帯び確認に関するQ&A」(PDF)Q2・2026年7月9日確認)。原文はこうです。
酒気帯び確認の方法は対面が原則ですが、直行直帰の場合その他対面での確認が困難な場合にはこれに準ずる方法で実施することができます。具体的には、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させるなどした上で、
① カメラ、モニター等によって、安全運転管理者が運転者の顔色、応答の声の調子等とともに、アルコール検知器による測定結果を確認する方法
② 携帯電話、業務無線その他の運転者と直接対話できる方法によって、安全運転管理者が運転者の応答の声の調子等を確認するとともに、アルコール検知器による測定結果を報告させる方法
等の対面による確認と同視できるような方法が考えられます。
県警のQ&Aも同じ内容で、直行直帰・出張等で対面が困難な場合は「対面に準じた方法で確認してください」とし、あらかじめ検知器を携帯させたうえでカメラ・モニター等または携帯電話・業務無線等で行う旨を示しています(和歌山県警Q&A問15・2026年7月9日確認)。
認められる2つの方法(カメラ方式・電話方式)
Q2が挙げる「対面と同視できる方法」は、大きく次の2通りです。どちらも共通して、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させておくことが前提です。
| 方式 | 安全運転管理者側がすること | 運転者側がすること |
|---|---|---|
| ①カメラ・モニター方式 | カメラ・モニター等の映像で顔色・応答の声の調子を確認し、あわせて検知器の測定結果を確認する | ビデオ通話等に応答し、検知器で測定して結果を画面で見せる/伝える |
| ②電話・業務無線方式 | 電話・業務無線など直接対話できる方法で応答の声の調子を確認し、運転者から検知器の測定結果の報告を受ける | 電話等に応答し、検知器で測定して結果を口頭で報告する |
※出典: 警察庁Q&A Q2・和歌山県警Q&A問15(2026年7月9日確認)。「運転者側がすること」欄は本記事による補足説明です。
「声を聞くだけ」では足りない——検知器の測定は非対面でも必須
ここでもっとも間違えやすいのが「電話で声だけ確認して終わり」にしてしまうことです。①②のどちらの方法にも「アルコール検知器による測定結果」の確認・報告が含まれています。検知器を用いた確認は義務で、安全運転管理者はアルコール検知器を常時有効に保持することとされています(警察庁Q&A Q3・2026年7月9日確認)。したがって直行直帰では、運転者に携帯型の検知器をあらかじめ渡しておくことが出発点になります。
検知器は「呼気中のアルコールを検知し、その有無又は濃度を警告音・警告灯・数値等により示す機能」があれば足り、メーカー・機種の指定はありません(警察庁Q&A Q3)。会社が用意するのが基本ですが、各事業所の事情で個人購入の検知器を使う場合も、安全運転管理者が「常時有効に保持」する検知器と同等の管理(定期的な故障確認など)を行えば差し支えないとされています(同Q&A Q4)。
直行直帰の確認・記録の進め方
STEP 1|前日までに検知器を携行させる
直行直帰が分かっている運転者には、正常に作動する携帯型アルコール検知器を持たせておきます。故障がないことを確認しておくのは安全運転管理者の役割です(検知器の「常時有効な保持」義務)。
STEP 2|業務前・業務後にビデオ通話または電話で確認する
運転を含む業務の開始前と終了後に、①カメラ・モニター方式または②電話・業務無線方式で、声の調子(と映像なら顔色)+検知器の測定結果を確認します。酒気帯びが確認されたら運転中止等の指示を行います。
STEP 3|その場で記録に残す
確認したら、記録簿の「確認の方法」欄に非対面である旨と具体的方法(例: ビデオ通話+検知器結果の報告)を書きます。記録は1年間保存します。
なお確認のタイミングは、個々の運転の直前・直後にその都度行う必要はなく、運転を含む業務の開始前・終了後(出勤時・退勤時)の2回で足ります(警察庁Q&A Q1・2026年7月9日確認)。直行直帰でも、業務前と業務後の2回でかまいません。
記録簿の「確認の方法」欄はこう書く【記入例】
記録する項目そのものは、対面のときと同じ法定8項目です(記録簿の書き方はこちらの記事で詳しく解説)。直行直帰で違ってくるのは⑸「確認の方法」欄だけ。ここには「検知器の使用の有無」に加えて、対面でない場合は具体的方法を書きます(警察庁Q&A Q7⑸、和歌山県警Q&A問23・2026年7月9日確認)。
| 日付 | 時刻 | 区分 | 運転者 | 車両 | 確認者 | 確認の方法 | 検知器 | 酒気帯び | 指示事項 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 7/9 | 8:10 | 業務前 | 運転 一郎 | 1号車 | 安全 太郎 | 非対面・ビデオ通話(顔色+声) | あり | なし | — |
| 7/9 | 18:40 | 業務後 | 運転 一郎 | 1号車 | 安全 太郎 | 非対面・電話(声)+検知器結果の報告 | あり | なし | — |
※本記事による記入イメージ。「検知器」列は使用の有無(「あり」)を示します。実際の様式は各事業所で自由に設計できます(法定8項目を満たせばよい)。
「対面」欄をただ空欄にしたり「電話」とだけ書いたりするのではなく、どの手段で・何を確認したかが後から分かるように書くのがポイントです。公安委員会は事業者に必要な報告や資料の提出を求めることができるため、求められたらそのまま説明できる粒度で残しておくと安心です。
出張で他事業所の車を使うとき
直行直帰と混同しやすいのが「出張先の事業所で社用車を使う」ケースです。この場合は、出張先の事業所に安全運転管理者がいるなら、その人に確認してもらうという別ルートが用意されています。具体的には、①出張先の安全運転管理者が運転者を目視等で確認し、立会いのもとで有効な検知器を使わせる ②その結果を、運転者が所属する事業所の安全運転管理者へ報告する——の両方が行われれば、酒気帯び確認をしたものとして扱えます(警察庁Q&A Q5、和歌山県警Q&A問19・2026年7月9日確認)。報告を受けた側の安全運転管理者は、酒気帯びを確認した場合に運転中止等の指示を行う必要があります。
よくある質問
Q1. 直行直帰でも安全運転管理者が対面で確認しないとダメ?
対面が原則ですが、直行直帰など対面が困難な場合は「対面に準ずる方法」で実施できます。携帯型検知器を携行させたうえで、カメラ・モニターまたは電話・業務無線で顔色・声の調子と測定結果を確認します(警察庁Q&A Q2、和歌山県警Q&A問15)。
Q2. 電話で声を聞くだけ(検知器なし)でもいい?
いけません。対面に準ずる方法でも、アルコール検知器による測定結果の確認・報告が前提です(警察庁Q&A Q2)。検知器を用いた確認は義務で、検知器は常時有効に保持することとされています(同Q&A Q3)。
Q3. 社用車で出勤・退勤するだけでも直行直帰として確認が必要?
出勤・退勤の手段としてのみの運転なら確認は不要です。ただし出勤・退勤の途中に業務を含む、いわゆる直行直帰の場合は確認が必要です(和歌山県警Q&A問22)。
Q4. 直行直帰の記録簿には何を書く?
記録項目は対面と同じ法定8項目です。違いは「確認の方法」欄で、検知器の使用の有無に加えて、対面でない場合は具体的方法(例: ビデオ通話+検知器結果の報告)を書きます(警察庁Q&A Q7⑸、和歌山県警Q&A問23)。記録は1年間保存します。
直行直帰の記録に使える無料ツール・テンプレ
確認方法が決まっても、記録を残して1年管理する手間は残ります。当サイトのツールとテンプレで省力化できます。
まとめ
- 酒気帯び確認は対面が原則だが、直行直帰など対面が困難な場合は「対面に準ずる方法」でよい
- 認められるのは、携帯型検知器を携行させたうえで、①カメラ・モニターまたは②電話・業務無線で、声の調子(映像なら顔色)+検知器の測定結果を確認する方法
- 声だけの確認はNG。検知器の測定は非対面でも前提
- 記録簿の「確認の方法」欄に非対面である旨と具体的方法を書き、1年保存する
- 出勤・退勤だけの運転は確認不要。判断に迷ったら管轄の警察署へ。日々の記録は無料のWeb記録簿で省力化できます
出典(一次情報)
- 警察庁「安全運転管理者の業務としての酒気帯び確認に関するQ&A」(PDF・Q1/Q2/Q3/Q4/Q5/Q7) — https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzenuntenkanrisya/pdf/QA.pdf (2026年7月9日確認)
- 和歌山県警察「安全運転管理者等による点呼等の実施及び酒気帯びの有無の確認Q&A」(令和7年4月版PDF・問13/15/19/22/23) — https://www.police.pref.wakayama.lg.jp/02_koutsu/oshirase/ankankenty/documents/qanda%20.pdf (2026年7月9日確認)
- 警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」(目視等確認・記録保存=令和4年4月1日、検知器使用=令和5年12月1日の施行時期) — https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/index-2.html (2026年7月9日確認)
- 道路交通法施行規則 第9条の10 第6号・第7号(酒気帯び確認と記録の1年保存・検知器の常時有効保持/e-Gov法令検索) — https://laws.e-gov.go.jp/law/335M50000002060 (2026年7月4日確認)
本記事は上記の公表資料に基づく一般的な情報提供であり、個別の事業者への法的助言ではありません。制度は変更される可能性があるため、実際の運用にあたっては必ず最新の公式情報と管轄の警察署の案内に従ってください。