公開: 2026年7月8日(記載の制度情報は2026年7月8日に警察庁・和歌山県警察の公表資料で確認。道路交通法施行規則の条文はe-Gov法令検索で2026年7月4日確認)

「アルコールチェックの記録簿、結局何をどう書けばいいの?」——白ナンバー(自家用)の車を使う事業所で記録を任された方向けに、この記事では酒気帯び確認の記録簿に書くべき法定8項目と、その具体的な書き方を、警察庁と県警の一次資料だけを根拠に整理します。

先に結論
  • 記録するのは警察庁Q&Aが示す8項目(確認者名・運転者の氏名・車両・確認の日時・確認の方法・酒気帯びの有無・指示事項・その他必要な事項)
  • 様式は自由。紙でもExcelでも電子データでも構いません
  • 確認と記録は1日2回(業務前・業務後)で足りる——運転のたびに書く必要はありません
  • 記録は1年間の保存が義務です

そもそも何の義務?——根拠と施行時期

乗車定員11人以上の自動車を1台以上、またはその他の自動車を5台以上使用する事業所は安全運転管理者を選任する必要があり、その業務として運転前後の運転者に対する酒気帯びの有無の確認(アルコールチェック)と、その記録・保存が定められています。根拠は道路交通法施行規則 第9条の10 第6号・第7号です(e-Gov法令検索・2026年7月4日確認)。

第7号 前号の規定による確認の内容を記録し、及びその記録を一年間保存し、並びにアルコール検知器を常時有効に保持すること。

施行時期は2段階です。目視等による確認と記録の1年保存は2022年(令和4年)4月1日から、アルコール検知器を用いた確認は2023年(令和5年)12月1日から義務化されています(警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」・2026年7月8日確認)。つまり現在は「目視等+検知器」の両方での確認と、その記録が必要です。

記録簿に書く「法定8項目」

何を記録すべきかは、警察庁のQ&A(PDF)のQ7に示されています(2026年7月8日確認)。原文はこうです。

以下の内容を記録し、及びその記録を1年間保存してください。
⑴ 確認者名
⑵ 運転者の氏名
⑶ 運転者の業務に係る自動車の自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
⑷ 確認の日時
⑸ 確認の方法(対面でない場合は具体的方法等)
⑹ 運転者の酒気帯びの有無
⑺ 指示事項
⑻ その他必要な事項

県警の公式Q&Aでは、⑸の「確認の方法」にアルコール検知器の使用の有無を含めて記録することが明示されています(和歌山県警察「点呼等の実施及び酒気帯びの有無の確認Q&A」(PDF)問23・2026年7月8日確認)。この8項目が揃っていれば、市販の様式でも自作のExcelでも問題ありません(後述)。

8項目それぞれの書き方【記入例つき】

#項目書き方のポイント記入例
1確認者名実際に確認を行った人の氏名。姓だけでなくフルネームで書く(和歌山県警Q&A問27)安全 太郎
2運転者の氏名確認を受けた運転者本人の氏名運転 一郎
3自動車登録番号又は識別できる記号、番号等ナンバーのほか、車台番号や「1号車」などの呼称・名称等、それだけで車両を特定できるものでも可(和歌山県警Q&A問28)品川 500 あ 12-34
(または「1号車」)
4確認の日時確認を行った日付と時刻。運転開始の時刻ではなく確認をした時刻2026/7/8 8:30
5確認の方法対面かどうかに加えて検知器の使用の有無を記録(和歌山県警Q&A問23)。対面でない場合は「ビデオ通話+検知器結果の報告」など具体的方法を書く対面・検知器使用あり
6酒気帯びの有無「なし」「あり」を記録するなし
7指示事項酒気帯びが確認された場合などに行った指示。なければ「なし」や空欄で足りる(酒気帯びありの例)
運転中止・帰宅させ再確認
8その他必要な事項体調などの特記事項。事業所として必要と判断した事項を書く欄体調不良のため経過観察

※「記入例」列は本記事による例示であり、公的資料に記載されたものではありません。

「確認者名」——安全運転管理者以外が確認した日はその人の名前を

酒気帯び確認は安全運転管理者が行うのが原則ですが、不在時などは副安全運転管理者や、あらかじめ指定して指導・教育を行った補助者に行わせることが認められています(警察庁Q&A Q6・2026年7月8日確認)。その日の「確認者名」には、実際に確認したその人の氏名をフルネームで書きます。

「確認の方法」——検知器を使ったかどうかを毎回残す

⑸の欄には「対面」か否かと、検知器の使用の有無をセットで残します。検知器は「呼気中のアルコールを検知し、その有無又は濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能」があれば足り、メーカーや機種の指定はありません(警察庁Q&A Q3、和歌山県警Q&A問30)。故障などで検知器を使えなかった場合は、その事実をそのまま記録したうえで、速やかに正常な検知器を用意してください(検知器は「常時有効に保持」することが義務です)。

記入例——ある1日の記録簿サンプル

運転者2名の事業所の、ある1日の記録イメージです。業務前・業務後の2回、全員分をまとめて記録します。

日付時刻区分運転者車両確認者確認の方法検知器酒気帯び指示事項その他
7/88:30業務前運転 一郎品川 500 あ 12-34安全 太郎対面ありなし
7/88:32業務前配送 二郎1号車安全 太郎対面ありなし
7/818:05業務後運転 一郎品川 500 あ 12-34安全 太郎対面ありなし
7/8運転なし配送 二郎業務前に確認済み・この日は運転なし(業務後の確認は不要)

※本記事による記入イメージ。「運転なし」行の扱いは次の章で説明します。

書き方で迷いやすい3つのポイント

1. 確認は「運転のたび」ではなく1日2回で足りる

酒気帯び確認は、個々の運転の直前・直後にその都度行わなければならないものではなく、運転を含む業務の開始前や出勤時、終了後や退勤時に行うことで足りるとされています(警察庁Q&A Q1・2026年7月8日確認)。1日に何度も配送で出入りする事業所でも、記録は基本「業務前」「業務後」の2行で足ります。

2. 業務前に確認したが、結局その日は運転しなかった

業務の開始前や出勤時に確認したものの、結果として運転しなかった場合は、終業時の確認は必要ありません(和歌山県警Q&A問12・2026年7月8日確認)。業務後の欄が空欄になるため、「運転なし」と理由を書き残しておくと、後から見返したときや公安委員会への資料提出時に説明が要らなくなります。なお、そもそも運転する予定が全くない従業員には始業時の確認自体が不要です(同Q&A問13)。

3. 直行直帰などで対面確認できない日があった

確認は対面が原則です。直行直帰や出張などで対面が困難な場合は、運転者に携帯型検知器を携行させたうえで、カメラ・モニターや携帯電話等により顔色・応答の声の調子と検知器の測定結果を確認する、といった対面と同視できる方法で行います(警察庁Q&A Q2・2026年7月8日確認)。この場合、記録簿の「確認の方法」には「ビデオ通話+検知器結果の報告」のように具体的な方法を書きます。

様式は自由。ただし1年保存——紙でもExcelでもWebでも

記録簿の様式に法令上の指定はありません。県警の公式Q&Aは、法定の記録項目を備えたものであれば様式は問わないとし(和歌山県警Q&A問25)、保存媒体についても「紙媒体でも、電子データでも構いません。各事業所の判断で任意の方法で記録してください」と明言しています(同Q&A問26・いずれも2026年7月8日確認)。

ただし、どの方法を選んでも記録は1年間の保存が義務です(施行規則9条の10第7号)。公安委員会は事業者に必要な報告や資料の提出を求めることができるため(道路交通法75条の2の2第1項・和歌山県警Q&A問29に引用)、求められたらすぐ出せる形で、安全運転管理者がいつでも確認できる事業所で保存するのが望ましいとされています(同Q&A問26)。

よくある質問

Q1. 記録簿に決まった様式はありますか?

ありません。法定の記録項目(本記事の8項目)を備えていれば様式は自由です(和歌山県警Q&A問25)。都道府県警察のホームページには様式例(Excel形式)を掲載しているところもあります(同Q&A問24)。

Q2. 検知器の測定数値も書く必要がありますか?

本記事で確認した警察庁・県警のQ&Aの範囲では、測定数値の記録までは求められていません(法定項目は「酒気帯びの有無」と「確認の方法」)。検知器のデータ保存機能・印字機能の有無も問わないとされています(和歌山県警Q&A問33)。数値を残すかどうかは各事業所の判断です。

Q3. 記録簿を付けていなかった場合、罰則はありますか?

本記事で確認した警察庁・県警の公表資料には、酒気帯び確認や記録の義務そのものに対する直接の罰則の記載は確認できなかったため、この記事では断定しません。なお、安全運転管理者の選任義務違反の罰則は50万円以下の罰金に引き上げられています(2022年10月1日施行・警察庁ページで2026年7月8日確認)。違反時の取り扱いや行政上の措置は、管轄の警察署に確認してください。

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まとめ

出典(一次情報)

本記事は上記の公表資料に基づく一般的な情報提供であり、個別の事業者への法的助言ではありません。制度は変更される可能性があるため、実際の運用にあたっては必ず最新の公式情報と管轄の警察署の案内に従ってください。